相談員Kのお悩みリスニング

「就労相談室ギフテッド」の相談員がお悩み相談にお答えします。一応、社会福祉士です。 お悩み相談はプロフィールにあるXかメールで受け付けています。

謝ればいいんですか?

「家族と縁を切り一人暮らしで、障害者の就労をサポートするセンターに通っているが、まだ就職活動はさせられないと言われる。理由は周囲とのコミュニケーション能力不足で、怖がらせているからだと言われた。解決策は教えてもらえない。貯金が尽きそうで、そのセンターに通う期限も切れる間近。怖がらせていることを朝礼などで全員に謝ればよいのか。」

 

初めまして、ご相談ありがとうございます。就労相談室ギフテッドの相談員Kです。よろしくお願いします。

結論、全員になど謝る必要はありません。

貯金が底を尽きそう、かつ支援を受けられる期間も残り少なく、なのに就職活動をさせてもらえない、あまりにも精神的に追い詰められる状況です。非常にお辛いことでしょう。

具体的にやるべきことを提示されず、怖い思いをさせたなら全員に謝れば解決するのだろうかという結論に至ってしまったのだとしたら、あまりにもひどい話です。

そちらのセンターに限らず、基本的に、全員が集まっている状態で、その全員に対して面と向かって謝罪しなければならない場面が生まれるとしたらそこはもはや組織としてどうかしています。

私の主観ですが、学校なら虐待。会社ならハラスメントです。

しかし当人はそれのおかしさに気づけないものです。相談者様がセンターの中で解決することが難しいと判断してこちらに相談してくださったのだとしたら、心の痛むことです。どうかそのような謝罪などせず、まずは以下を読んでみてください。

問題はご相談者様もきっとおわかりのとおり、解決方法を教えてくれないということです。相談文を読む限り、就職活動にGOサインを出すか出さないかを判断する援助者がいるのだと思いましたので、その前提で書いていきます。

まず、周囲を怖がらせているという、言われた本人からすれば大抵の人がショックや罪悪感を覚えるであろう指摘をするならば、かなりの慎重さと事前準備が必要と私は考えます。

本当に「周りを怖がらせてる」という言葉だけなら主語も内容も曖昧過ぎます。周りとは誰を指すのか、怖がらせたのはどんな場面でどんな言動だったのかわかりません。ですから相談者様のように、全員に謝ればいいのかという結論に至る人もいるのは当然です。

根拠(どんな言動が周囲を怖がらせているのか)はどこにあるのか、あるとすれば何が原因で、どのようにして改善すればよいのかを明らかにして伝える必要があります。

ロールプレイングをしたり、自分が提案した課題をどのくらいできているかの振り返りをしたりなど、そこまでの準備をしてこそ、やっとそのような厳しい言葉での支援をする資格が生まれるというのが私の援助方針です。

そのお方はできていないということで間違いないでしょうか。だとしたらはっきり申し上げて援助者の落ち度です。

相談者様に限らず、人が周りを怖がらせるコミュニケーションとは例えばどんなものがあるでしょう。面と向かって悪態をつくとか、睨みつけるとか、相手を強く否定するとか、無視をするとか、声を荒げるとか...挙げればキリがないですね。

しかしながらどれであれ必ず、そうしてしまうだけの「理由」があります。障がい特性なのか、性格なのか、悩み、怒り、憎しみ、過去のトラウマ、色々あります。援助者ならばそこを一緒に明らかにしたいものです。

相談者様にしていただきたいのは、まず以下のことを現在の援助者に伝えることです。

①「自分の何が周囲を怖がらせているのか」を聞く

②具体例を教えてもらったら、伝えられる範囲で理由を伝える

③どうしたら改善できる、または就職活動を許されるようになるのかを聞く

それでも効果がなければ別の援助者へ同じ相談をしてください。

私が恐れるのは「それを自分で気づけないと…」という趣旨の返答をされることです。論外どころではありません。内容は違えど事例があったので書いておきます。似たようなことが起きたら別の援助者へ相談してください。

そもそも、就職活動のスタートとストップの基準は、センターというからには一人の援助者だけが決めることではないはずです。

仮に全員が同意見だとしたら、余計に根拠・原因・対策・フォローを全員で考えて欲しいですね。そうでなければ止める権利はありません。相談者様の意思を尊重していないことになりますので。

相談者様に非はありません。私の仮定が正しければ、完全な援助力不足です。さらに言えば、「あなたは周りを怖がらせている」というからには、怖がっている方々へのフォローをするのも援助者の仕事です。

現在、相談者様を援助しているお方が、今何をお考えで、これまでどのような援助をされてきて、お二人の関係性がどういったものなのか不明な状態で否定するわけではありませんが、相談してもやはり解決しないと感じた場合は他の援助者にすぐ相談してください。

貯蓄を失っても生活していく方法は区役所に行けばわかります。ですが相談者様がそれを望まないのであれば、まずは上記のアクションを起こしてみましょう。

どうか決して、ご自分を責めないでください。

 

以上です。お読みいただきありがとうございました。少しでも相談者様のお役に立てたら幸いです。そしてお悩みが解決することを願っています。