相談員Kのお悩みリスニング

「就労相談室ギフテッド」の相談員がお悩み相談にお答えします。一応、社会福祉士です。 お悩み相談はプロフィールにあるXかメールで受け付けています。

ボールペンのカチカチ音

「こんにちは。悩みと言いますか愚痴に近いのですが、よろしくお願いします。今の職場に入ってもうすぐ1年経ちますが、店長の指摘が理不尽だと感じます。朝、一日の流れを、まずは店長と社員とバイトリーダーだけで話し合うのですが、僕が無意識にボールペンの芯を出したり引っ込めたりしてカチカチ音を鳴らしていたところ「○○くんそれやめて?」と真顔で言われました。確かに不快にさせたと思いますが、そこまで本気で不機嫌なトーンで刺すように注意することかどうか納得がいってません。皆の前で恥をかいたような気分にもなりました。店長にいかに怒られないで済むかを考えて仕事をしています。正直、何様なんだと思います。すみません、解決できないのはわかっているのですが、書かせていただきました。」

 

初めまして、ご相談ありがとうございます。就労相談室ギフテッドの相談員Kです。よろしくお願いします。

愚痴か悩みかの定義をそこまで気にしていただいてありがとうございます。どちらでも大丈夫です。相談者様の胸のつかえを表面化することは、問題解決への第一歩です。確かに解決はしないかもしれませんが、少しでも楽になる方法を知ることができるかもしれないですしね。言ったもん勝ちです。

さて、そのボールペンのことですが、問題点は指摘の仕方ということですね。相談者様が「本気で不機嫌なトーンで刺すように」と感じる程の「それやめて」は、もう単純に店長にとってよっぽど耐え難かったのでしょう。

異常にイライラする音とか行為って人それぞれありますが、相談者様の「何様なんだ」という言葉から察するに、「偉い立場なら自分が嫌なことは何でもやめろと言うのか」という気持ちが含まれているように感じます。

それは正論だと思います。どんな立場にせよ、自分の好き嫌いやマイルールで感情的に人の言動を注意したり縛りつけたり、不機嫌に批判するのは理不尽です。

それが社会だと言う人もいますが、横暴という人の方が今は多いでしょう。その店長ももう少し言い方がお上手だと良いのですけれどね。

例えば私がどうしても耐えられなくて指摘するとしたら「どうしたどうしたすーごいボールペンの勢いだけども!(笑)」というような言い方になってしまいますね。たぶん指摘された本人以外の周りは気を遣って笑ってフォローしてくれるでしょう。しかし、これでも嫌だと感じる人ももちろんいらっしゃると思うので、正解はないのでしょうね。

店長さんは余裕がないのかと想像します。悪気もないと思います。むしろ自分は正義だと思っている可能性もあります。

ですが相談者様に私がお伝えしたい大切なことは、店長さんが刺したのは「ボールペンのカチカチ音」です。そう、相談者様を刺したわけではありません。名前を呼ばれてしまったので自分が否定され怒られていると思うのは当たり前で、意外な発想だったかもしれませんが、人ではなく行為に怒るケースも多いのです。

しかし、似たような、業務と関係のない指摘が相次ぐならば店長さんは相談者様に苦手意識をもってしまっているということになるのかもしれません。店長さんも人間だから仕方ない部分もありますが、それを出してはいけないし、自分の立場の使い方を考えるべきです。

自分の感情や個人的な物差しでスタッフの言動をジャッジするという、とても強い表現をするとしたら独裁者。繊細な部下は倒れてしまうでしょう。

ご機嫌を伺って働くことは本当に疲れます。以下のように得ることはあるのですけれどね。

相談者様は今後の人生で、おそらく二度とボールペンをカチカチし過ぎることはないでしょう。「こんなに怒る人がおるんかい…」という経験をしたので、誰の琴線に触れるかわからない行動なのだとわかったわけですから。

無意識の言動を批判されるとびっくりするし、ショックですよね。ムカつくこともありますよね。なのに相談者さんはご機嫌を伺って仕事をするという賢い選択をしています。きっと仕事ができるようになります。

怒られないようにというモチベーションはもちろん良いものではありませんが、そのタイプの店長さんに怒られないということは上司に対する態度も、仕事内容も問題ないということです。これは社会人としての最高の肥やしになります。

ただ、たぶんまた思いもよらぬところで刺されるとは思います。しかしそれはその店長さん独自の性質なので、また一つ「嫌がる人もいるという言動を知った…」と傷口を押さえながら唱えるか、今回のように愚痴れるなら愚痴りましょう。

正直、後者をおすすめします。このままだと相談者様は緊張とストレスで参ってしまう可能性があるからです。あのときの指摘があってよかったと思える日は必ず来ると思いますが、今を健やかに生きなければなりませんので、愚痴ることは大切です。

「あー、この人ってなんでこうなんだろ、いつかしっぺ返し食らうぞー」くらいに思って、退勤後は美味しいご飯を食べましょう。

以上です。お読みいただきありがとうございました。少しでも相談者様のお役に立てたら幸いです。そしてお悩みが解決することを願っています。

相談員K